FAQ

「Effective Altruism(効果的利他主義)って何?」

核となる概念:
効果的利他主義というのは、証拠と理論に基づき世界の向上を最大化することを目指す社会運動です。

世界中には多くの問題がありますが、全てまとめて同時に対応することは不可能です。時間、お金などのリソースが限られている事を認識し、できるだけ大きいソーシャルインパクトを与えることを目指しています。

効果的利他主義の社会運動に参加している多くの人が、「インパクトを最大化するためにどのような質問をすべきか」について議論しています。

例えば:

  • 何人に影響を与えられますか?影響の大きさはどれぐらいですか?
  • 可能なアクションの中で、どれが一番インパクトが大きいのか?
  • そのアクションを実施した場合、自分の貢献度はどれぐらいか?
  • 逆にそのアクションを実施しない場合、どんな効果になるのか?
  • 成功する、失敗する可能性はどれぐらいか?また、どの程度向上、悪化するのか?

確かな経験則として、効果的利他主義者は下記3つの基準を満たす問題を探しています:

規模が大きい:多くの人をよく助ける
注目度が低い:この問題を解決するために努力している人が少ない
扱いやすい:成功の可能性が高い実用的なアクションを実施できる

問題を指定したら、その問題に対してどのアクションが最適なのかを検討することも必要です。それに対して違う意見が多くありますので、ある団体が「問題の優先度」について研究を行っています。

それによると、次のアクションが効果的だと思われています。

「私の意見ですが、前述の1つのアクションを取ったら、あまり効果がないもしくは悪影響を与えてしまうと思っています。」

効果的利他主義者の中でもあなたに賛成する人がいると思います。あるアクションの効果が少ないと思ったら、積極的にその意見の背後にある論拠を説明しましょう。そうすると多くの人を説得でき、より効率的に社会へ好影響を与えられるかもしれません。

EAの目標は質が高い証拠や分析に、敏感に反応することです。それなのでグループで議論することが多く、方向性が頻繁に変わっています。

「誰でもこういった活動をしたほうがいいと思いますか?」

ある人はできるだけ社会へ貢献することは義務だと考え、同様に他の人は効果的利他主義が社会を向上する絶好の機会だと思っています。

どんな立場であれ、是非一緒に世界の向上を目指しましょう。

「多くのお金や時間を使うのが必要?」

確かにリソースを使うほどインパクトが高くなりますが、好きなことを諦めたり、家族や友達との時間を諦める必要はありません。絶対ではありませんが、多くの「効果的利他主義者」は給料の10%を寄付しているか、ソーシャルインパクトを与えられるようなキャリアを形成しています。

自分の状況が厳しい場合、まずその状況を改善して下さい。状況が改善したら、その後他の人を助けることに集中できます。

「これは当たり前じゃない?」

多くの人は「当たり前だ」と思っていますが、その考え方を実際の活動に適用していません。他の人を助けるためにあまり努力しないか、適切な調査や異なる選択肢を議論せず、ただ興味がある問題に集中しています。

「当たり前だ」と感じたら、効果的利他主義のコミュニティーはあなたにとってはベストな選択かもしれません。

「「証明済み」のプログラムしかやっていないの?」

他の全ての条件が同じならば成功する可能性が高い方が良いですが、「証明済み」である必要はありません。

ある人は経験的証拠に支えられたプログラムにのみに集中して、証拠がないプログラムに懐疑的です。それはどの行動が好影響・悪影響を与えるかは実行前には想定しにくいと思っているからです。

一方で、科学的研究や政治的主張など経験的・思索的なプログラムは大きなインパクトを生む可能性が高いと思っている人もいます。

結局は、両方の考え方を文脈によって使い分けるのが一番理想的です。

「効果的利他主義の目的はお金をよく稼いで、チャリティーに寄付することだけ?」

それは一番効果的なアクションの1つです。その方法について多くの研究が存在しています

人によって違いますが、それ以外のアプローチの方が効果が高い場合があります。政治家になる、社会へ貢献する商品を開発するスタートアップを設立するなどの選択肢があります。

どのアプローチが良いかについては、活発な議論が継続しています

「社会の体系的なシステムの改善を忘れていない?」

可能なアクションとして、組織的なシステムの改善は絶対に行うべきです。実は、効果的利他主義者の中で、ある人は既にこういう活動を行っています。

まだ新たな社会運動ですので、最初は多くの研究や寄付は証明済みのプログラムに集中されていました。その中には、途上国での健康治療プログラムの規模を拡大するとか、そのプログラムの成功率を高めるために途上国の政府を技術的に支援するといった活動がありました。

しかし、活動の良し悪しを評価することに優れてきたので多くの人は組織的な変更システムの改善(時に劇的な変更)を含むプログラムに移行してきています。

詳しくはこちらを読んで下さい。

「寄付するお金がない場合、どうすれば良い?」

寄付するために自分の状況を追い込まないで下さい。まず自分のキャリアにフォーカスして、もう少しお金を貯めましょう。寄付する以外のソーシャルインパクトを与える機会もあります。

そうは言っても、世界の平均収入と比べたら予想以上にお金を持っていることを忘れないで下さい。

「効果的利他主義の研究者は、[ここに議題となる世界的問題を記入してください]について調査した?」

調査したかもしれないし、していないかもしれません。大きいソーシャルインパクトを与えるために多くの方法があるので、全てについて徹底的な調査を行うのはとても時間がかかります。毎年、多くの人が「世界的問題の優先度」について研究しているので、研究の範囲はどんどん広くなっています。

下記サイトにて、興味がある問題について研究されているかを確認できます。

もしくは、Googleで「Effective Altruism」+興味がある問題を検索してみて下さい。

「全員が一つの世界的問題もしくは推薦されたチャリティーに集中したらおかしくない?」

確かに上手くいかないでしょう。他の人がやっていることを考慮した上で、最良の取るべきアクションを推薦しています。

人がどんどん効果的な機会を利用したら、注目度が高くなるため新たなリソースを追加する価値がなくなってしまいます。その時点で、情報が少ない問題についての研究を行う価値が高くなって、推薦するアクションが変わるかもしれません。

「「絶対に成功するがインパクトが少ない」と「失敗する可能性があるが、成功するとインパクトが大きい」アクションをどう比較すればいい?」

簡単に言うと、あるアクションの「期待値」はそのアクションの成功率 × 成功した場合のインパクトです。

期待値 = 成功する可能性 × 成功した場合のインパクト

つまり、アクションBが成功する可能性がアクションAの半分ですが、成功する場合アクションAのインパクトの2倍である場合、アクションBとAの期待値が一緒です。

もちろん、あるアクションが成功する可能性を推測することはかなり難しいので、自信過剰にならないように注意しないといけません。ある効果的利他主義者は新たなプロジェクトが成功する可能性について研究しています。

期待値の精密な定義はこちらを参照下さい

「まず私が暮らしている国の問題に集中した方がいいんじゃない?」

あなたの周りの人を助けることは決して悪いことではありません。しかし、もしあなたが先進国で暮らしているなら、あなたの国でなく遠くにいる途上国の人を助ける機会の方が、その人々の生活に大きな違いをもたらすことが可能です。

例えば、1000ドルでケニヤにいる自給自足で農業を営む家族の収入を2倍にできます。それによって、幾分の人々の生活を改善することが出来ます。先進国で暮らしている場合、1000ドルでそこまでの影響をローカルコミュニティーに与えるのはかなり難しいです。

前提として、殆どの効果的利他主義者は、どこで暮らしても、既存の友好関係がなくても、人間は皆平等だと思っています。

「数字に頼る分析、これって少し冷淡じゃない?」

ある介入の効果を計算に頼る、人の状況を比べるといった少々「冷淡な分析」になり、確かに私たちは助けたい人々の状況をいつでも把握していませんが、殆どの人は人間や動物を助けたいという理由で効果的利他主義の社会運動に参加し、活躍しています。

私たちは社会福祉にとても関心があるので、その人の生活にできるだけ大きい好影響を与えたいと思っています。

「政治に関わっている効果的利他主義者もいる?」

多くの効果的利他主義者は政治に興味が持っています。政治のキャリアを積極的に追求している人もいるし、どの政策変更が一番インパクトが高いかについて研究している人もいます。

「一般的に「チャリティー」活動はは上手く行っていないのでは?」

確かに多くのチャリティーが効果的な介入をしていないケースがあり、世間一般はそう信じています。しかし、比較的少数のチャリティーは圧倒的に大きいインパクトを実証する可能性もあるので、一番効果的なチャリティーを見出すのはとても大切です。

もしNPOの効果を疑っているなら、効果的利他主義はNPOの活動に限っていません - NPO経由でソーシャルインパクトを与えることは、インパクトを与えるたった1つの方法にすぎないのです。

「「ソーシャルインパクトを与える」の定義は何?」

効果的利他主義者は人々の人生を向上させることに重点を置いています。誰に聞いても、苦しみを軽減することと幸福を高めることは良いことだと信じています。芸術を促進するとか地球環境を保護する等の他に価値がある活動はありますが、それらは効果的利他主義の直接的な目的ではありません。

詳しくはこちら。

違う人に違う利益を与えることを公平に比較するのはとても難しいことですが、公平な分析を行えるように効果的利他主義者達は頑張っています。

「「他の人を助けたい」と言ったら、具体的に誰なの?」

もちろん、現在生きている人がその定義に含まれています。多くの効果的利他主義者は人間じゃない動物も考慮していますが、人間1人と比べると動物1匹の倫理的価値がより少ないと思っています。

次世代に生きる人々も含まれています。その定義に含まれる最適な基準は「意識的に経験できる」ですが、意識的経験の定義自体や、どの生き物が意識的経験をできるかは常に論争中の問題です。

「効果的利他主義者は全員ベジタリアン?」

工場式畜産下の動物の一生は非常に痛々しく、地球環境に悪影響を与えるなどの理由で、多くの効果的利他主義者はベジタリアンかヴィーガンの生活をしていますが、この社会運動に参加するために必ず肉を食べてはいけない等の制約はありません。

人間以外の動物をどう効果的に助けられるかについて積極的に研究している人もいます

「これは功利主義なの?」

功利主義とは違って、効果的利他主義では「他の人を助けることは義務だ」や「最適な結果を生じるためなら、他人の権利を侵害してもよい」といった主義主張がありません。

効果的利他主義の考え方に賛同する功利主義者は多くいますが、殆どの効果的利他主義者は功利主義者というより、権利の侵害、自由、不平等、個人的美徳などの福祉以外のものに関心があります。実際、殆どの人が様々な道徳論の重要性を適切に評価しています。

「受益者はプログラムなどの意思決定に関わっているの?」

あるプログラムに影響されている人のニーズを理解していない可能性が高いので、そのリスクに引き続き警戒しないといけません。ニーズが分からない場合、効果がなくなってしまうし、それは結果的に私達のゴールに反してしまいます。

また、グループによって対応の仕方が異なります。

ある人はGiveDirectlyのアプローチを支援しています。GiveDirectlyでは、世界の一番貧しい人に直接現金を送金しているため、お金の使い方はその人次第です。それは、望ましくないサービスを貧しい人に提供する代わりに、その人々を確実にエンパワー出来ると考えられています。

一方で他のグループは、お金の代わりに、ワクチンや必須微量栄養素などの保険医療サービスを貧しい人に提供しています。その理由としては、お金を送るだけだと受領者はワクチンや必須微量栄養素は提供される人の生活を大きく向上するに関わらず、様々な理由でその人たちから評価されず、買わないためです。

サービス提供者は、受益者の健康状況が向上されたら、サービスを受ける人が自分の生活自体も向上できるようになると期待しています。このような調査はいつも信頼できるとは限らないのですが、どの介入が効果的かを判定するために精密なインパクトの評価が必要です。

人間以外の動物や次世代を生きる人に影響を与えるプログラムについては、この問題がもっとも難しく、よく考えた上で最善の仮説を立てないといけません。例えば、子取り用の母豚は転回が出来ないほどの狭い妊娠ストール(妊娠期間中に単頭飼育する個別の檻)に永久に居たくはないし、次世代人は環境破壊が進んだ生きづらい地球に生まれたくはないでしょう。

「効果的利他主義は左翼、右翼、リバタリアン、保守系などの偏りがあるの?」

偏りはありません。様々な政治的領域から参加しています。しかし、効果的利他主義者のだれでも、他の人を助けるために偏見のない心と実用的なアプローチが必要だと思っています。どの政治観を持っていても、それを信じ、また共有しています。

「すでに税金を払っているんですが、何で更に貢献しないといけないの?」

税金を払っても、他の人を助ける能力と熱意のある人が多く存在します。一部の人は社会へ貢献するエクサイティングな機会をつかみたく、ある人は自分より恵まれていない状況にある人を支援するのは義務だと思っています。多くの場合、効果的利他主義者は政府に対応されていない優先度が高い世界的問題に対応しています。

「効果的利他主義の社会運動に参加するメリットは何?もう社会へ貢献するアクションを取っているし、このようなアプローチは最適じゃない気がする。」

この社会運動に参加している殆どの人は親切で、やる気があって、知的好奇心を思っています。独力でやるより、一緒にやるメリットは沢山あります:

  • 高度なスキルを持っている人が多くいるので、あなたのプロジェクトを助けてくれる人がいるかもしれない
  • 質がいい反論や提案を提供すれば、大規模なグループの方向性に影響を与えられる
  • ある問題について一緒に研究すると、研究の質が高くなる
  • 効果的利他主義者の考え方や行動を観察することで色々な事を学べる
  • 共通点のある友達を作るのは様々なメリットがある

そうは言っても、コミュ二ティーに積極的に参加せずこの社会運動の主義を貫くプロジェクトを実施することも絶対可能です。あなたがそのポテンシャルをお持ちなら素晴らしい!

「参加したいのですが、どうすれば良い?」

ぜひぜひ!以下は多くのEAメンバーがやっていますが、まずは、このサイトの「Take Action」ページを御覧ください!