本ページでは、80,000 Hoursのキャリアインパクトを評価するためのフレームワークの詳細について書いてあります。公式サイトでは精密な説明がありますので、興味があればこちらをクリックしてください（英語のみ） https://80000hours.org/research/
そもそも、「影響を与える」とはどういうことでしょう？
最終的に人々の生活に影響を与えるとは、私達が道徳哲学において追及するテーマ：幸福とは何か？と一緒です。80,000 Hours のキャリアガイドにおける、「影響を与える」「社会的インパクトを生み出す」の定義は次の通りです。
「あなたがどれだけの人数の生活を向上させたか？」そして「どの程度、向上させたか？」です。
なぜこのように定義づけているのでしょう？
1．幸福とは、広義ですが、ほとんどの人が関心があるテーマです。哲学者は、人間は苦しみに耐えるより、より楽しい生活を送ることが理想であると考えています。よって、幸福を追求すれば、私たちのアドバイスはより多くの人々に影響を与えることが出来ます。
2．幸福実現のための取組みによるインパクトには大きな差異があります（例えば、80,000 Hoursによると、いくつかの世界的な問題は他のものより100倍以上緊急性を帯びています）。これは幸福といった概念が非常に個人により異なるため、特に（この行動を起こす上で）注目すべき重要な争点となります。
3．私たちには異なるアクションによって生み出される幸福という概念の違いを比較するツールがあります、それは費用効率分析です。これは、他の道徳的価値観、例えば正義感や美意識といった価値観とは異なります。
キャリアインパクト評価方法
私達は、扱うべき問題を比較するために、その問題に取り組む際に生み出される社会的インパクトという観点から、次のフレームワークを使用します。
規模が大きい：もし私達がこの問題を解決したとしたら、どの程度世界は改善されるのか？
注目度が低い：この問題を解決するのに現状でどの位の資源が費やされているのか？
扱いやすい：もしその問題を解決するのに費やされる資源を2倍にしたら、問題の何分の１を解決できるのか？
規模の査定方法
もし私達がこの問題を解決したとしたら、どの程度世界は改善されるのか？
例えば、癌はマラリアよりも重要な問題です、なぜなら（QALYs lostでの調査結果によると）癌は世界の健康障害の8%を占めるからです。一方で、マラリアは、わずか2.7％です。もし癌を撲滅できたとしたら、マラリアを撲滅するよりも健康障害を軽減する大きな前進と言えます。
これは規模が、(i)多くの人々に影響を与える、もしくは(ii)短期的且つ長期的な効果を含む大規模なスケールで同じ人数に影響を与える、といったどちらかの評価方法によって 効果を増大できると意味します。80,000 Hoursは幸福という幅広い概念を用います、よってその効果は人々の人生の様々な局面を向上することです。それは、喜び、健康、意義、良好な関係などを含みます。
注目度の低さの査定方法
現在、どのくらいの人数、資金がその問題を解決するのに費やされたか？
多くの資源がある問題に費やされた後は、収穫逓減に陥ります。これは、人々がインパクトの為の最良な機会を初めに選択し、より多くの資源を投資するにつれ、より変化を起こすのが難しくなるからです。よって、より多くの人に無視されている問題に焦点を当てる方が良いです。
例えば、子供の予防接種はグローバルヘルスを向上するのにとてつもなく効果的な介入です。しかし、この問題はすでに政府機関やゲイツ財団を含む複数の主要な基金によって精力的に扱われています。これにより、今後のドナーにとっての最優先事項にはなりにくい結果を生みます。
扱いやすさの査定方法
もし私達がある問題に努力を二倍注入したら、残る問題の何分の一、私達は解決できると期待できるでしょう？
たとえ問題が非常に大事でかつ大きく見落とされているとしても、注目に値する重要な問題であるとは限りません。なぜなら、それは単純に私達が出来ることは非常にわずかだからです。
例えば、老齢は非常に大規模な問題です。すなわち、世界の健康障害の3分の2は幾分老齢に起因します。それはまた大きく見落とされています。身体的な老齢化の原因を防ごうとする研究機関の数はごくわずかです（癌や卒中やアルツハイマー病等の症状を扱う研究機関と比較して）。しかしながら、見落とされている一つの理由は、多くの科学者がこのような問題を解決するのは非常に困難と判断するからで、またこれがその問題への取組みを阻む現状での主な要因です。（この問題を解決すべき利点は、この科学者が評価するマイナス面を相殺するのに十分なのですが）。
個人的な適応の査定方法
最後に、あなたが取組むべき問題を見極める際、自分自身により最適な問題を選ぶ方が良いです。自分にとって最適な分野では、トップパフォーマーはその平均値の10倍から100倍近いインパクトを生み出すことが出来ます。
あなたのスキル、資源、知識、ネットワーク、熱意を考慮して、どのようにあなたがその分野で秀でたパフォーマンスが出来るか考えてみましょう。